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2007/04/20

福音館書店から(第61回)

新規製版を可能にした原画の保管
                            福音館書店 月刊誌編集部長 森達夫

 宮城県美術館の、防火と空調の管理が行き届いた収蔵庫で、部屋一面の棚に組み込まれた桐箱から次々と出していただく「ぐりとぐら」、「おおきなかぶ」、「しょうぼうじどうしゃ じぷた」「ふるやのもり」・・・。かつて30年も40年も前に画家が精魂込めて描かれ、絵本として刊行されたあとは子どもたちの宝物になったあの作品の原画です。いまはこうやって手厚く収蔵されているさまに、身が引き締まる思いがしました。原画に添えられた、歴代の編集者の、原画の再現性を高めるための製版指示や留意事項のメモまでもが一緒に保存されています。
 描かれたのは、画家自身もまだお若かった時代です。ほとばしる創作の意欲を画面に込めてくださりながらも、決して十分ではない経済的な背景から、画材や用紙をいまのような高品質なものを利用することは困難でした。
 たとえば、「ふるやのもり」の原画は、絵本作家田島征三さん青年時代の、絵本第一作です。耐水性のない薄ベニヤ板(田島さんは、「だれもが貧しかったころで、選挙が終わった後に街角に捨てられているポスター用のベニヤ板を画材に使った」と述懐しておられます)に和紙をはっただけの画面や、薄紙を高価な製版フィルムベースに見立てて使用した画面がありました。これらを、宮城県美術館では大きな労力と経費を使って修復保存につとめてこられました。そのご努力によりすばらしい保存状態にあるものを借用できて、今回の新規製版が実現しました。
 「子どもに向けた文化財を最高の技術で保存し、将来に向けて末永く劣化させない手法で子どもたちに手渡しつづけたい」という私どもの新規製版事業が、子どもの文化をになう多くの方々や団体に支えられている、見守られている、と強く感じました。
 第一期では15作品中の12作品が宮城県美術館収蔵品です。このあと刊行を予定しています第二期、第三期でも多くの作品をお借りします。大きなご協力をいただいています宮城県美術館の有川幾夫さんより一文をいただきました。

4月 20, 2007 福音館からのお知らせ |

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