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2006/06/16

子どもと読んだ「こどものとも」——編集部座談会(2)

:私の場合は、今はDさんぐらいになる子どもに読んであげてた。子どもが2人いたので10年間くらいにわたって読んであげてました。子どもと何度も読んだ本といえば、『とうだいのひまわり』とか、古いものは年中向きでリバイバルしていたのか、私が福音館にいたから家にあったのか、けっこう昔のものも読みました。『てぶくろくろすけ』も何度も読んだし、『12のつきのおくりもの』も『のんびりおじいさんとねこ』も『ひっこしこし』も好きだった。『しごとをとりかえたおやじさん』もすごい好きでしたね。『ぐりとぐら』は、うちの2人の子はそんなにはまらなかったですね。
:Mちゃん(女)とHくん(男)とちがいますか、好みが?
:微妙にちがってね、Hが『よるのびょういん』に夢中だった時は、Mはもう大きくなっていたんじゃないかな。『ちいさなろば』とか両方ともすごい好きだった。『やこうれっしゃ』も好きだったし、保育園の生活だったから『くらやみえんのたんけん』もめちゃくちゃ好きでしたね。『マフィンおばさんのぱんや』はMがものすごく好きだった。『おなかのすくさんぽ』はHが好きだった。こわいのに何度も何度も読んだ。『どうぶつしんぶん』もずいぶん読みましたね。
:『どうぶつしんぶん』なんかどうやって読むんですか?
:『どうぶつしんぶん』は好きなところだけ記事を読んであげて、いつもおんなじとこで笑ったりしてました。
:私も『どうぶつしんぶん』のヘビの詩を近所の子とみんなで覚えて、いいあったりしてた。
:やっぱり、会社で一人で読んだものよりも、子どもといっしょに読んだもののほうがよく覚えているし、印象にも深く残っていますね。
:最近私もだんだん「こどものとも」を子どもといっしょに読めるようになってきました。最近のヒットは『ムッシュ・ムニエルをごしょうかいします』で、子どもが全部覚えていて、中に出てくる呪文とかもいえるんですよ。「ウマはキュウリのサラダをたべな~い」とか「ムッシュ・ムニエルはヤギですが、ふつうのヤギとはちがいます」とか。私は読んでいて、この本は大人っぽい感覚かなと思っていたら、意外に子どもがはまっています。今、福音館で売られてないのがさびしい気がします。思い出に残っているのが、今売られていないというのがけっこうあったりしますね。ハードカバーになっていなくても名作はいっぱいあるというか…。
:月刊誌をとっていたから、そういうのに出会えたということでしょうね。
:ちょっと営業っぽくなってますけど。
:子どもにとっては、面白いかどうかだけですよね。販売面のこととか、いろいろな大人の事情で子どもの手に届きにくくなっているものもありますよね。

:子どもがいったことで、ヒントになって作った本があります。『おいしいものつくろう』は、Hがお料理を手伝いながら、「ここでたまごをわりまして~」とか歌を歌ってたから、お料理を作る歌を作りませんかって岸田衿子さんにお願いしてできたんです。
 自分が絵本を読んであげて、今は大人になった子どもたちにとって、絵本はなんなのかというのは、親からするとわかんないですね。A君みたいに「こどものとも」編集部に入ってということがあれば、突然思い出すこともあるのかもしれないけど、まだ20代の終わりとか30代の初めで、全然別の仕事をしてるから。これから自分の子どもに読んでやって思い出すことはあるかもしれない。特に男の子なんか、あんなに絵本が好きだったのに、それが彼の中で今どんな位置をしめているのかなって思うことも時々ありますね。
:うちの兄とかそうですね。ずっと絵本からはなれてて、今自分の子どもに読んでいて初めて、ああ、そうだそうだ、この話こうだったよねって話しながら思い出して、2度目に楽しんでいる。それでやっぱり自分が好きだったものが、子どもも好きだったりすると、うれしいらしい。
:このあいだも「こどものとも絵本の世界展」の会場の売り場で、一生懸命、「お父さんはこれが好きだったんだよ」って娘にいってる人がいて—『ぐるんぱのようちえん』なんですけど—娘は一生懸命ちがう本を見ようとしてて、「お父さんはこれ」っていっても全然聞いてくれないから、奥さんのほうに「おれの話を全然聞いてくれない」っていいにいってました。
:でもそれって子どもはすごくわかるみたいで、「これはお父さんが好きな本。これはお母さんが好きな本」ていって、お父さんの好きなこの本、読んでとかいうんですよね。
:お父さんの時はこの本読んでもらうみたいのがあるよね。
:うちの父親には2つくらいしか読んでもらった記憶がなくて−ほんとはものすごい読んでくれてたらしいんですけど−そのうちのひとつは『ごろごろにゃーん』、もう1冊は加古さんの『どろぼうがっこう』(偕成社)。
:お父さんが読んでくれたほうがおもしろそうっていうのがあるかもしれないよね、『どろぼうがっこう』とかは。
:「ぬきあし さしあし しのびあし」とかいうのも父親がのって読んでくれた。「ごろごろにゃーん」もけっこう抑揚つけて「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーんと ひこうきはとんでいきます」とかいって。
:その節で入ってる? やっぱり?
:そうなんです。ほかの人の節っていうか、読み方だとなんかちがうなあっていう感じ。
:子どもの好みというのは、自分の好みとはちがう部分があるかもしれない。
:男の子っていうのは特に不思議ですよね。ある時ぴたっと全然ちがうほうにいっちゃうから。
:そうなの、ある時ぴたっとそういうこといわなくなるから。
:なんか女の子っぽいとか、子どもっぽいみたいな感じで。
:ちょっとはずかしいみたいな感じ。
:それをこえたらまた変わるんだろうけど。私の兄もいっしょに絵本読んでいたんだけど、そんなには私ほどには覚えていなくて、それでも『スーホの白い馬』がすごいよかったとか、そういう時だけは和やかな感じで話ができる。兄弟でもそんな会話はないけど、なんか共通のベースのところにもどれるということがあるかもしれないですね。兄は特に絵本好きというわけではないですね。今、小学校の先生ですけど、もっと子どもに本を読んであげてほしいですけど。
:絵本だけじゃなくて、ほかにもいっぱい楽しい遊びがありますからね。選択肢のひとつっていう感じでね。
:絵本はなにが普通のほかの遊びとちがうんだろう。
:私は仕事してたから、寝る前に読んでやるっていうのがすごい楽しみだった。一番てっとりばやくて簡単じゃない、それでよろこぶから。絵本を読む時間というのが自分でもいい時間でしたね。
(次回に続く)

6月 16, 2006 エッセイ2003年 |

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