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2005/07/29

横長判への展開    松居 直

 「こどものとも」が6年目に入ったころ、並行して進めていたのがアメリカの絵本の翻訳出版の企画でした。最初に候補にあがったのは、『100まんびきのねこ』と『シナの五人きょうだい』の2冊です。ともに横長の判形で、それぞれの物語の変化と連続性とに合わせた動きのあるさし絵が、絵本なればこそ語れる物語の効果を完璧に表現し、物語絵本の構成の妙とそのあるべき姿を示しています。この2冊の絵本の邦訳を再編集する経験を通して、絵本における文と絵の組合せについて多くのことを学びました。その詳しいことは『絵本の力』(岩波書店刊 河合隼雄・柳田邦男との共著)をご覧ください。
 「こどものとも」の編集が壁にぶつかり、今後の物語絵本の展開には思い切った手段方法を取る必要性を感じていた矢先でもあり、アメリカの2冊の絵本の物語る力を徹底的に分析研究しました。そうして得た結論が、横長の画面に特有の“動き”の効果です。頁を開くと大きく左右に広がる画面の視覚的な動きは、物語を語るには実に効果的で、さし絵が動き、物語のそれからそれからという展開が波のうねりのようにはずみます。そうだ! 「こどものとも」も横長にしてはと考えました。

 しかし画面を横長にすると、タテ書きの文章の入れ方がむずかしくなります。そこで思い切って、「こどものとも」を横長判にし、文章も横書きにする決断をしました。絵本の文章の横書きは前例がありません。読者の反発が予想されます。しかし物語絵本のさらなる充実と発展には、これ以外に方法はありません。
 かくて1961年7月号から、「こどものとも」をB5判・横長判で本文横書き、左開きの絵本にしました。そして第一作としての効果を強く印象づけるべく、トラックが高速で長距離を走るという乗物絵本『とらっく とらっく とらっく』を編集したのです。
 子どもに絵本を読まれる大人の方々の印象は決して良くはなかったのですが、読んでもらいながらさし絵を読み取る子どもの反響からは、とても効果的であることがわかりました。この絵本づくりから、『スーホのしろいうま』や『たろうのともだち』『3びきのくま』といった作品が生まれ、さらに翌年の増頁によるより本格的な物語絵本の企画へと発展して、『おおきなかぶ』『だいくとおにろく』『かわ』『かばくん』といった傑作を作り出すことになるのです。

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1961(昭和36)年度にあったこと

ソ連、世界初の有人宇宙飛行を「ボストーク1号」で成功。地球を1周したガガーリン少佐「地球は青かった」と語る。(4月)
米国がベトナムへゲリラ戦用特殊部隊グリーンベレーを派遣、ベトナム戦争の発端となる。(5月)
本田技研チーム、「英国マン島オートバイレース」で125cc・250cc両クラス制覇。(6月)
全国的に小児マヒが流行し、東京都は「小児マヒ対策本部」の設置を決定。(8月)
東ドイツが東西ベルリンの境界に長さ45kmにわたって鉄条網の「ベルリンの壁」を設ける。(8月)
「第二室戸台風」が近畿を中心に全国に被害(死者・不明者202人等)をもたらす。(9月)

文部省が全国学力テスト実施。(学力テストに反対する日教組は各地で反対闘争を実施し、以後1966年にテストが中止されるまで毎年混乱が続いた)(9月)
大鵬と柏戸がともに横綱に昇進し、柏鵬時代の幕開きとなる。(9月)
女子バレーボール日紡貝塚チームが、欧州遠征で24戦全勝、「東洋の魔女」と呼ばれる。(10月)
ソ連核実験の影響で、福岡での放射能雨から過去最高の放射能検出(11月)
西ドイツでサリドマイド系睡眠薬で奇形児出産が続出との発表を受け販売禁止になる。世界各国で問題になり、製造販売が中止されたが、日本では対応が遅れ1962年9月まで市販されることとなった。(11月)
精巧なニセ千円札「チ-37号」が発見され、この後63年11月までに343枚が発見されるが、結局1973年に時効が成立。(12月)
東京都が世界最初の1000万人都市となる(2月)

主なベストセラー:『英語に強くなる本』岩田一男(光文社)、『何でも見てやろう』小田実(河出書房新社)
テレビ:朝の連続テレビ小説第1作『娘と私』(NHK)、『夢であいましょう』(NHK)、『アンタッチャブル』(NET(現テレビ朝日))、『シャボン玉ホリデー』(NTV)、『七人の刑事』(KRT(現TBS))、など放送開始。
新商品:「クリープ」(森永乳業)、「サンオイル」(資生堂)、「アンネナプキン」(アンネ)、シームレスストッキング(厚木編織(現・厚木ナイロン工業))、「リポビタンD」(大正製薬)
ヒット曲:坂本九「上を向いて歩こう」、植木等「スーダラ節」、飯田久彦「ルイジアナ・ママ」
この年登場したもの:「ワンマンカー」(東急バス)、「不快指数」(気象庁)、「交通情報センター」(警視庁)

福音館書店では:「世界傑作絵本シリーズ」刊行開始。(1961年1月)、「こどものとも特製版」刊行開始(7月)(図書館用のハードカバー版を月刊誌と同時刊行。1977年3月に終了)

7月 29, 2005 そのころあったこと1961年 | | コメント (0) | トラックバック (0)

福音館書店から(第6回)

 台風が去り、猛暑がやってきました。今週は6年目のご紹介。今回からいよいよ横長判の登場です。どうしてそうなったかは、松居直のエッセイをとくとお読みいただきたいと思いますが、タテのものをヨコにすることで、絵本の世界が大きく変わってしまうなんて、ほんとうにコロンブスの卵みたいな話です。
 前回も書きましたが、現在も読みつがれている絵本も、最初に世に出た時は、ずいぶんちがった姿だったものがたくさんあります。それを見比べてみるのも、ほんとうにおもしろいものです。ぜひ復刻版をお求めください。と、また宣伝してしまいます。

 また、悲しいニュースですが、今回ご紹介した『ひとりでやまへいったケン』の作者、串田孫一さんが7月8日に逝去されました。福音館書店ではこの1冊だけのお仕事でしたが、山の随筆家、詩人として多くの読者に親しまれてきた串田さんの、心にしみる山の絵本です。ご冥福をお祈りします。

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いちごつみ

1961年4月号
030061

神沢利子 作 佐藤忠良 画

女の子が山でいちごをつんでいると、後ろから誰かがやってきます。さぶちゃんだと思って話しかけても、「うーふー」と答えるばかり。ふりかえると大きなクマが……。女の子は「さぶちゃんじゃなくたっていいわ」と、おいしそうないちごをすすめると、クマの差し出した大きな手を見て、こわれた自分の家の柱を建て直すよう頼みます。堂々たるクマの姿が物語をリアルに伝えます。

「こどものとも」61号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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七ひきのこやぎ

1961年5月号
030062

グリム 作 瀬田貞二 訳 山田三郎 画

お母さんやぎは、森に出かける前、七ひきのこやぎに、おおかみに気をつけるようにいいました。「しゃがれごえと黒い足で、おおかみはすぐにわかるよ」と。でも、やってきたおおかみは、白墨を食べて声をきれいにし、前足に小麦粉をつけて、こやぎをだまして戸を開けさせると、六ぴきを次々食べてしまいました。おなじみのグリムの昔話の絵本。

「こどものとも」62号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

このグリムの昔話は、フェリクス・ホフマンの絵のものが『おおかみと七ひきのこやぎ』(瀬田貞二訳)として「世界傑作絵本シリーズ」で1967年に刊行され、現在も販売されています。

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オンロックがやってくる

1961年6月号
030063

おの・かおる 作/画

南の島に住むトコは、いつもいたずらしてばかり。ある日、油の壺をひっくりかえしたトコに、お母さんはすっかり怒って叫びました。「オンロックきておくれ!」オンロックは、いたずらっこをさらいに来る魔物です。いたずらっ子たちは力を合わせて、魔物退治の計略をめぐらします。子どもたちのいきいきとしたいたずらっ子ぶりが楽しい絵本。

「こどものとも」63号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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とらっく とらっく とらっく

1961年7月号
030064

渡辺茂男 さく 山本忠敬 え

港で荷物を積んだトラックが遠い町めざして走ります。高速道路では乗用車や観光バスに、工事現場ではダンプカーやローラーに出会います。やがてタンクローリーを追い越してぐんぐんスピードをあげていったら、「しまった!」白バイに止められました。日が暮れて、山を越え、もうすぐ終点の大きな町です。スピード感あふれる車の絵本。この号から「こどものとも」は横長判になりました。

「こどものとも」64号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は1966年に「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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ひとりでやまへいったケン

1961年8月号
030065

串田孫一 さく/え

友だちから弱虫とからかわれていたケンは、ひとりで山小屋へいくことにしました。夜になってようやく着いた小屋はぼろぼろで荒れていました。翌日から山での暮らしを始めたケンは、森の鳥やリス、ウサギやカエルなどの動物たちとの交流を通して心細さをのりこえ、たくましさを身につけていきます。山の随筆家・詩人串田孫一による絵本です。

「こどものとも」65号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

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3びきの くま

1961年9月号
030066

瀬田貞二 やく 山田三郎 え

大きいくまと中くらいのくまと小さいくまの3びきが散歩に出かけた留守に、くまの家にやってきた女の子は、おいてあった大きいどんぶりと中くらいのどんぶりからお粥をちょっとずつ食べ、小さいどんぶりのお粥をすっかり食べてしまいました。次に3びきの椅子にすわり、3びきのベッドで寝てみましたが、小さいベッドで眠りこんでしまい……。ロシアの昔話の絵本。

「こどものとも」66号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

この昔話については、別のロシアの絵本(バズネツォフ絵  おがさわらとよき訳)が「世界傑作絵本シリーズ」から刊行されています。

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スーホのしろいうま

1961年10月号
030067

大塚勇三 やく 赤羽末吉 え

羊飼いの子どもスーホは、生まれたばかりの子馬をひろってきて、熱心に世話をし、りっぱな白馬に育てました。ある年、王様の開いた競馬で見事一等になった白馬を、王様はスーホから取りあげてしまいます。王様から逃げ出した白馬は、兵隊の矢に瀕死の傷を負い死んでしまいました。夢の中で白馬は、自分の骨と皮と毛を使って、琴を作るようにスーホに言いました。モンゴル民話の絵本。 

「こどものとも」67号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は、再話・絵とも全面的にかきなおして、1967年に「日本傑作絵本シリーズ」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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もりのでんしゃ

1961年11月号
030068

岸田衿子 さく 中谷千代子 え

森にすてられた電車がありました。最初に見つけたこぐまは蜂蜜の壺をしまう場所にし、りすは栗をしまう場所にし、そのうち森の動物たちが、電車を遊び場にするようになりました。ある大嵐の夜、動物たちが電車に逃げこんで眠っていると、元運転手さんという白いひげのおじさんが現れ、十五夜様の空に向けて電車を走らせます……。美しい幻想的な絵本です。

「こどものとも」68号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

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そりにのって

1961年12月号
030069

神沢利子 さく 丸木俊子 え

兄ちゃんにそりを貸してもらえないふみちゃんは、おじいさんに小さなそりを作ってもらいました。みんながうらやむような赤い新しいそりに乗ったふみちゃんは、ぴゅーんと原っぱをぬけ、村をぬけ、空に舞いあがると、谷底の雪の中に落ちてしまいました。そこで冬ごもりのクマに出会い、一緒にくうくう眠りました。雪の白さが目にまぶしいような絵本。

「こどものとも」69号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

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たろうのともだち

1962年1月号
030070

渡辺桂子 さく 堀内誠一 え

こおろぎが散歩していると、ひよこに会いました。ひよこはこおろぎを家来にしてしまいます。歩いていくと、こんどはねこが、ひよことこおろぎを家来にして……。最後に会ったたろうは「けらいなんていやだ。みんなともだちになったら」。そこで、みんな「ともだちだあ。なかよしだあ」。犬もねこも、ひよこもこおろぎも、たったか、たったか、わんわんわん。

「こどものとも」70号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は「こどものとも」1967年4月号(133号)として、文・絵とも全面的にかきなおされ、この新版が「こどものとも傑作集」の1冊として1977年に刊行され、現在も販売されています。

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みつこちゃんのむら

1962年2月号
030071

熊谷元一  作/画

みつこちゃんの住む村は冬になるとあたり一面、雪でまっ白です。冬の間もみつこちゃんは、お正月にははねつきやまりつき、どんど焼きなど大忙しです。やがて学校や保育園が始まり、お誕生日には友だちをよんで、ごへいもちでお祝い。春には牛のお産、そして田んぼや畑の仕事が始まります。農村の生活を丁寧に温かい絵で描いた絵本です。

「こどものとも」71号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

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うちゅうの 7にんきょうだい

1962年3月号
030072

三好碩也 作・画

暗い宇宙の片隅に住む7人きょうだいが、もっと明るくにぎやかなところに行きたいと思い、ほうき星のばあさんにたずねました。お日さまの方にある地球がいいと聞き、7人は旅立ちます。途中には氷砂糖でできた星や、宝石の輪が付いた星などあって、そのたびにきょうだいは一人二人と減り、最後に地球にたどり着いたのは泣き虫の女の子、お月様だけでした。宇宙を舞台にしたゆかいな絵本。

「こどものとも」72号
19×26cm 20ページ 当時の定価50円

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2005/07/22

物語絵本の展望を開く   松居 直

 「こどものとも」が創刊以来、5年目に入った1960年の1月号は、長年にわたり早稲田大学でロシア文学の講義をされ、多くのロシア文学研究者や翻訳家を育ててこられたワルワラ・ブブノワ先生に、思い切ってロシアの物語の本格的な絵本をお願いしました。ブブノワ先生は日本の版画家たちに、大きな影響を与えられた著名な版画家です。先生はパウストフスキーの物語「あなぐまのはな」を選ばれ、訳は教え子である内田莉莎子さんがされました。ロシアの自然と風土をみごとに表現したこの絵本の芸術的なさし絵は、高く評価されたのですが、子どもたちにはややなじみにくい絵本だったようです。
 一方、幼児にとって昔話の物語体験が圧倒的な魅力があることを痛感し、幼児に最適と考えた「おだんごぱん」を瀬田貞二先生の訳に、力強い表現の井上洋介さんのさし絵で絵本にしました。文章とさし絵の表現がぴたりと合って、昔話絵本のあり方に一石を投じたとおもいます。後日、作家の丸谷才一さんが『日本語のために』(新潮社)という著書で、この瀬田貞二さんの訳を絶賛されました。

 この企画に勢いを得て、昔話絵本の決定版を作ろうと、瀬田さんに「三びきのこぶた」を訳していただきました。ディズニーの「三びきのこぶた」が納得できず、本物の「三びきのこぶた」を子どもたちに伝えたかったのです。さし絵もイギリスの絵本をよく研究するとともに、徹底的に豚をスケッチして山田三郎さんが会心の絵本に仕上げてくださいました。この作品は今もなお『三びきのこぶた』の絵本の傑作として読みつがれています。
 ついで日本の昔話「きつねのよめいり」を松谷みよ子さんの再話、瀬川康男さんのさし絵で出版しました。後に『ふしぎなたけのこ』でブラチスラバ世界絵本原画展でグランプリを受賞された瀬川さんのデビュー作です。
 これらにつづく物語絵本として、石井桃子さんの創作「いぬとにわとり」を取りあげました。幼児向けの物語は、読み語りで幼児が耳で聴いて物語の世界をしっかりと思い描き、それからそれからと物語の筋をたのしくたどれることが必須です。この作品はそのことを適確に示していて、日本に本格的な文学としての幼年童話が生まれたことを感じさせられました。
 『のろまなローラー』は、乗物を主人公にした幼児向けの物語を絵本にする手法を、山本忠敬さんがしっかりと示された記念すべき作品です。この段階でようやく物語絵本「こどものとも」に展望が開けました。

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1960 (昭和35)年度にあったこと

国連安保理が南アフリカ連邦の人種隔離政策廃止要求決議案を可決。(4月)
尾関雅樹ちゃん誘拐事件。(5月)
衆議院で新安保条約と関連協定を強行採決(5月)
チリ地震による津波が北海道、三陸、関東を襲い、死者122人他の大きな被害をもたらす。(5月)
日米安保条約に反対して国会突入を目指す全学連が警官隊と衝突。(樺美智子さん死す)(6月)
オリンピック・ローマ大会開催。小野喬(鉄棒・跳馬)、アベベ(マラソン)、カシアス・クレイ(ボクシング)などが金メダル。(8月)

浅沼稲次郎社会党委員長が演説会の壇上で右翼の少年に刺殺される。(10月)
米国大統領選挙、民主党のケネディが共和党のニクソンを僅差で抑え当選。(11月)
大相撲九州場所で関脇大鵬が初優勝。(11月)
中央公論社社長嶋中鵬二宅で、右翼の少年が家政婦を登山ナイフで殺害し、夫人に重傷を負わせる。(嶋中事件)(2月)

主なベストセラー:『性生活の知恵』謝国権(池田書店)、『私は赤ちゃん』松田道雄(岩波書店)、『どくとるマンボウ航海記』北杜夫(中央公論社)、平凡社『国民百科事典』全7巻刊行開始
テレビ:『快傑ハリマオ』(NTV)、『ブーフーウー』(NHK)、『少年探偵団』(フジテレビ)など放送開始。
新商品:「ダッコちゃん」(タカラ)、「ハイライト」(日本専売公社)、カラーテレビ(東京芝浦電気(現・東芝))、「クレラップ」(呉羽化学)、インスタント・コーヒー(森永製菓)、EEカメラ(キャノン)、「マーブルチョコレート」(明治製菓)

この年、第7回産経児童出版文化賞特別出版賞が、「こどものとも」出版の業績に対して贈られました。

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福音館書店から(第5回)

 さて今週は第5回目、創刊から5年目の紹介になります。この年になると皆さんご存知の絵本がたくさん登場してきます。でも、それぞれの本の紹介にくわしく書いたとおり、現在「こどものとも傑作集」で見られる形とは、結構ちがっています。表紙を比べるだけでも絵柄が左右逆になっていたりしますから、リンクをはってある本も、どうぞご覧になってみてください。

 ところで、学校はもう夏休み、皆さん旅行や行楽の計画がおありのことと思いますが、今、各地で絵本の原画展も行われています。「こどものとも」の関係でも、佐藤忠良さんの『おおきなかぶ』は滋賀県守山市、片山健さんの『ゆうちゃんのみきさーしゃ』『もりのおばけ』『おなかのすくさんぽ』は長野県諏訪郡の八ヶ岳の山麓で、さとうわきこさんの「ばばばあちゃん」シリーズは長野県岡谷市で、それぞれ、原画を見ることができます。くわしくはイベントのページをご覧ください。

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ぴかくん めをまわす

1960年4月号
030049

松居 直 作 馬場のぼる 画

朝、信号機のぴかくんは目を覚まし、交差点で規則正しく、青・黄・赤……をくりかえして、交通整理を始めます。ところが街がだんだんにぎやかになり、たくさんの人や車が行き交うようになったころ、おや、青・黄・黄・赤・黄・赤……ぴかくんは目を回してしまい、交差点は大混乱……。交通ルールの大切さを馬場のぼるのユーモラスな絵で描いた絵本。

「こどものとも」49号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

このお話に長新太が新たに絵を描いた新版が「こどものとも」127号(1966年10月号)として刊行され、「こどものとも傑作集」の1冊として現在も販売されています。

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三びきの こぶた

1960年5月号
030050

瀬田貞二 訳 山田三郎 画

三びきのぶたの兄弟は家を出て自分で暮らしていくことになりました。上の兄さんぶたはわらの家を建てましたが、狼に家を吹き飛ばされ、食べられてしまいました。次の兄さんぶたも、木の枝の家も吹き飛ばされ、やはり狼に食べられてしまいました。一番下の弟ぶたはれんがの家を建て……。おなじみのイギリスの昔話ですが、原話を忠実に絵本化しています。

「こどものとも」50号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本の文と絵の一部をかきなおしたものが、1967年に「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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たろうのばけつ

1960年6月号
030051

渡辺桂子 作  堀内誠一 画

たろうは幼稚園で空き缶に針金を付けたばけつを作ってきました。うれしくなったたろうは、猫のみーやや犬のちろー、アヒルのがあこやニワトリのこっこにも、見せてまわりました。次の日、みんなが借りにきて、ニワトリはハンドバッグ、犬はぼうしにして……。おなじみの『たろうのおでかけ』のシリーズの最初の作品です。

「こどものとも」51号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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ジオジオの かんむり

1960年7月号
030052

岸田衿子 作  中谷千代子 画

ジオジオは、だれでもその冠を見るとかくれてしまう、強いライオンの王様でした。でも白髪がはえ、目も見えなくなってきたある日、ヒョウとヘビに卵をとられた灰色の鳥が、ジオジオに話しかけてきました。ジオジオが王冠に卵を産むようにすすめると、鳥はジオジオの頭の上に巣を作り、春には無事ひなが孵りました。『かばくん』のコンビの最初の作品です。

「こどものとも」52号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は、「年少版こどものとも」(現在の「年中向き」)1970年1月号として本文横組み・左開きに変更して再刊されたのち、1978年に「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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きつねの よめいり

1960年8月号
030053

松谷みよ子 作  瀬川康男 画

ある雨の日、おじいさんは山で死にそうになっているこぎつねを助け、なかよく暮らすようになりました。やがて美しい娘ぎつねになりましたが、ある日突然きつねは姿を消してしまいました。何日も探し歩いていると、急に日照り雨がぱらぱら降ってきたかと思うと……。松谷みよ子が昔話をもとに書いた物語の絵本。瀬川康男のデビュー作です。

「こどものとも」53号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は、1967年、本文横組み・左開きに変更して「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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のろまな ローラー

1960年9月号
030054

小出正吾 作  山本忠敬 画

ローラーが重い車をごろごろ転がしながらゆっくり道を進んでいると、大きなトラックや立派な自動車、小型自動車が、怒ったりばかにしたりしながら、次々に追い越していきました。ところがでこぼこ道の坂を登っていくと、道端にさっきの自動車たちがパンクして停まっています。ローラーがしっかりでこぼこ道を直していくと……。山本忠敬が乗物絵本の手法を確立した作品。

「こどものとも」54号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この作品は、「こどものとも」113号(1965年8月号)として、横長版(本文横組み・左開き)に描き直され、これが1967年に「こどものとも傑作集」の1冊として刊行されて、現在も販売されています。

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いぬとにわとり

1960年10月号
030055

石井桃子 作  山中春雄 画

犬と一緒に暮らしていたおばあさんが、鶏を五羽飼いました。すると小屋の中で、鶏が「けえこ、けえこ」と鳴きたてます。おばあさんが犬に何かしたのかとたずねると、犬は「みてるだけ」。次の日も鳴きたてるので、犬に聞くと「にらむだけ」。その次の日は「なでるだけ」。おばあさんが犬を柿の木につないでしまうと、こんどは鶏が……。幼児のための完璧な物語です。

「こどものとも」55号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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ゆきちゃんのせかいりょこう

1960年11月号
030056

川尻泰司 作・画

絣の着物の布でこしらえられた人形のゆきちゃんに、遠い国ルーマニアから世界人形祭りへの招待状が届きました。船でナホトカに渡り、シベリア鉄道を汽車で旅して、モスクワからジェット機でブカレストへ。世界中の人形たちが集まったお祭りでたくさんの友だちができました。世界各地の風景と人形がもりだくさんに登場し、未知の世界への想像力をかきたてます。

「こどものとも」56号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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こまどりのクリスマス

1960年12月号
030057

スコットランド民話 渡辺茂男 訳 丸木俊子 画

こまどりは王様のところで楽しいクリスマスの歌を唄うために、お城をめざして飛んでいきました。しげみのところでは猫に、生け垣では鷹に、岩の上では狐に、言葉巧みに誘われますが、こまどりはだまされず、王様のお城に着きました。王さまとお妃さまはかわいい歌を歌ってくれたご褒美に……。スコットランドの民話を丸木俊子(後に丸木俊)が美しく描きます。

「こどものとも」57号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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かさじぞう

1961年1月号
030058

瀬田貞二 案 赤羽末吉 画

編み笠を作って暮らしているじいさんは、正月の餅を買うために、笠を五つ持って町に売りに出かけましたが、さっぱり売れません。そのうちに日が暮れて雪も降ってきたので、しかたなく戻ってくる途中、野原に立っているお地蔵さまに雪が積もっているのを見て、持っていた笠を全部かぶせてあげました。翌朝、どこからか橇引きの声が……。日本の昔話の語り口を生かした再話です。赤羽末吉の最初の絵本。

「こどものとも」58号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この絵本は1966年、「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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みゆきちゃん まちへいく

1961年2月号
030059

水口 健 作 坂本直行 画

みゆきちゃんは開拓地に住んでいます。もうすぐ1年生になるので、ランドセルを買いに父さんと札幌にいくことになりました。馬の引く橇で駅まで行って、汽車に乗って6時間。札幌に着くと、初めて見るたくさんの人や自動車に、みゆきちゃんはびっくり。路面電車でデパートに行って……。広大な雪原と町のにぎわいがやわらかな水彩画で描かれます。

「こどものとも」59号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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三びきのライオンのこ

1961年3月号
030060

今江祥智 作 長 新太 画

母さんライオンは三つ子のライオンに獲物のとりかたを教えることにしました。でも、笑いじょうごのころんは、ウサギをねらう母さんの顔がおかしいといって笑いだし、むっつりやのむうは、リスを逃がしてやってと怒りだし、元気のないしょぼんは、子鹿がかわいそうだと泣きだしてしまいます。アフリカの野生の世界をユーモラスに描いた絵本。

「こどものとも」60号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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2005/07/15

『かいたくちの みゆきちゃん』のころ   水口 健

 「この人の絵で絵本をつくりたい。絵をかいてもらうために、ミナクチ君、文章をかいてください」。福音館の編集長であった松居君がそう言い出した。昭和33年(1958年)初めのことだ。
 この人、というのは親しくしていただいていた坂本直行さん。坂本さんは北海道十勝の下野塚原野に開墾に入り農業を営んでいた。アルピニスト、エッセイスト、そして水彩で山や植物を描く。その絵が清新で美しい。
 そのころ僕は北海道から東京に移住し、ある会社に勤めていたのだが、松居君とは、じつは京都での幼馴染み。毎朝、中学校にコロコロと連れ立って通っていた。そんな関係で坂本さんの絵を見せたら、そういう話になった。
 坂本さんの生活は開墾、開拓農家という過酷ともいえる厳しいものだったが、一面、『大きな森の小さな家』に描かれているインガルス一家の生活そのもので、原野のお宅にお邪魔するたびに強く惹かれていた。そうだ、あの生活の子どもをかこう、と決めた。

 日が経ち、僕は福音館に勤めることになった。昭和33年(1958年)暮れのことだ。当時、福音館は東京都千代田区水道橋の木造民家を社屋とし、社員総勢33人。昼になると、台所でつくられた食事が出てくる。ちょっとした家族みたいな、小さな小さな会社だった。
 昭和34年(1959年)秋、「こどものとも」44号として『かいたくちの みゆきちゃん』が出来上がった。「みゆきちゃん」を前にして、松居編集長が気の毒そうに言う。
 「ミナクチ君、君は今はうちの社員。社員のかいたものには原稿料を払わないきまりになっている。だから原稿料は出ない。悪い」
 「げっ!」
 驚いたが、なるほどそういうものかもしれないと納得した。そういう時代だったのだ。
 ところで『かいたくちの みゆきちゃん』を漢字混じりでかくとこうなる。「開拓地の美雪ちゃん」。なぜわざわざこんなことをかくかというと、ある人が平仮名書きのタイトルを見て「描(か)いた口のみゆきちゃん」と読んだのだ。みゆきちゃんという女の子が絵を描く。そこに描かれた口が動き出して活躍する……。不思議なお話だと思って、タイトルを見てワクワクしてました、と。
 「はあ、ちょっと違いまして」と説明した。
 『かいたくちの みゆきちゃん』で思い出すことは他にもいろいろあるのに、こんなことどもを思い出してしまった。

水口 健(みなくち たけし)
1926年、東京生まれ。京都で育つ。帯広農業専門学校(現帯広畜産大学)卒業。北海道農業試験場勤務の後、農業、高校教員、新聞記者をへて、1958年福音館書店入社。絵本の編集などに携わった。

7月 15, 2005 エッセイ1959年 | | コメント (0) | トラックバック (0)

1959 (昭和34)年度にあったこと

皇太子殿下と正田美智子さんがご結婚。(4月)
初めての天覧試合で巨人の長嶋が阪神の村山からサヨナラホームラン。(6月)
田中聡子が200m背泳に2分37秒1の世界新記録(日本女子水泳の世界新記録は1933年の前畑以来)(7月)
「伊勢湾台風」が全国に被害をもたらす。(9月)
ソ連の人工衛星「ルーニク2号」が史上初の月面到達(9月)「ルーニク3号」が月の裏側の撮影に成功(10月)
日米安保条約改定阻止の国会請願で2万人のデモ隊が国会構内に入る(11月)

三井鉱山が三池炭鉱の労働者1279人の指名解雇を通告、三井三池争議が始まる。(12月)
第1回日本レコード大賞、水原弘「黒い花びら」に決定。(12月)
在日朝鮮人の第1次北朝鮮帰還者975人が北朝鮮へ帰る。(12月)
皇太子妃美智子様が浩宮徳仁親王をご出産。(2月)

主なベストセラー:『にあんちゃん』 安本末子 (光文社)
テレビ:『ザ・ヒット・パレード』(フジテレビ)、『ママちょっと来て』(NTV)、『ローハイド』(NET(現テレビ朝日))、『兼高かおる世界飛び歩き』(後に『兼高かおる世界の旅』、KRT(現TBS))など放送開始。
新商品:スノータイヤ(ブリヂストン)、プレハブ住宅(大和ハウス)、ハーフサイズのコンパクトカメラ「オリンパス・ペン」(オリンパス)、電子オルガン「エレクトーン」(日本楽器(現ヤマハ))、「のりたま」(丸美屋食品)
この年始まったもの:「緑のおばさん」、「若い根っこの会」、駐車違反のレッカー車移動

7月 15, 2005 そのころあったこと1959年 | | コメント (0) | トラックバック (0)

福音館書店から(第4回)

 先週お知らせした『こどものとも復刻版A・Bセット』につづいて、今週も「こどものとも」50周年記念の商品として、『こどものとも世界昔ばなしの旅』をご紹介します。
 このシリーズは、アジア・中南米・アフリカ・オセアニアなど、地球上のさまざまな土地に伝わる昔話を、その土地にゆかりの深い画家の絵で絵本にしたものです。
 『こどものとも世界昔ばなしの旅』(15冊セット)は、「こどものとも」500号記念として刊行したものの再刊ですが、今回その第2弾として『こどものとも世界昔ばなしの旅 II』を刊行します。このセットは1冊をのぞいて、すべて今回初めてハードカバーになるものばかりです。 
 

こどものとも世界昔ばなしの旅』(15冊セット)
  おひさまをほしがったハヌマン/おどりトラ/かものむすめ/もどってきたガバタばん
  チャマコ と みつあみのうま/われたたまご/おによりつよいおれまーい/マリアとコンドル
  ちいさなりょうしタギカーク/まじょのひ/しろいむすめマニ/カガカガ/かたつむりとさる
  あくまのおよめさん/ゆうかんなアジク
こどものとも世界昔ばなしの旅 II』(15冊セット)
  エングラシアおばちゃんのおくりもの/おおきなカエル ティダリク/おおきなかぬー
  おおぐいひょうたん/おばけのトッケビ/ガラシとクルピラ/こかげにごろり/コケーナとであったチャンゴ
  サルとトラ/とうもろこしおばあさん/バオバブのきのうえで/はじめてのかり/ひゃくにんのおとうさん
  ファンが悪魔をつかまえた/ほしのむすめたち

セット定価 各12, 600円(本体 各12, 000円)
  分冊定価 各840円(本体 各800円)
  特製ケース入り 分売もいたします。
  2005年9月上旬発売予定

 ホームページでも『こどものとも復刻版』とともに、近日中にくわしいご紹介のページを作る予定ですのでお楽しみに。

7月 15, 2005 福音館からのお知らせ | | コメント (0) | トラックバック (1)

ふうせんの おしらせ

1959年4月号
030037

与田凖一 作 竹山 博 画

赤いふうせんが、眠っていたくりの木の芽によびかけました。「はるですよ、はるですよ」黄色いふうせんは土手のつくしに、青いふうせんは丘のわらびに、春の訪れを知らせます。ふうせんのお知らせで、冬の間眠っていた草花や動物たちが、それぞれ順番に目を覚まします。空に舞うふうせんが春をはこぶさわやかな絵本です。

「こどものとも」37号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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三びきの やぎの がらがらどん

1959年5月号
030038

瀬田貞二 訳 池田龍雄 画

三びきのやぎのがらがらどんは、山に太りに行くところ。でも、恐ろしいトロルの住む橋を渡らなければなりません。最初に一番小さなやぎが行くとトロルは、「きさまを、ひとのみにしてやろう」「ちょっとまって。つぎのやぎはもっと大きいよ」…… こうして最後にいちばん大きなやぎが大活躍。世界の子どもに大人気のノルウェーの民話を絵本にしました。

「こどものとも」38号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

このお話をマーシャ・ブラウンが絵本にしたもの(訳はこの絵本と同じ瀬田貞二)が、1965年に「世界傑作絵本シリーズ」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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たぐぼーとの いちにち

1959年6月号
030039

小海永二 作 柳原良平 画

船をひっぱる船、たぐぼーと。小さなはしけをいくつも引っ張って、大きな貨物船につけてゆきます。次は長い間働いて使えなくなった船をドックへ運び、休む間もなく、10000トンもある新しい移民船を港の外まで……。朝から晩まで一生懸命働きます。ウィスキーのCMで一世を風靡した、船をこよなく愛する画家柳原良平が、大胆かつ精確に描いた船の絵本です。

「こどものとも」39号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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きつねとねずみ

1959年7月号
030040

ビアンキ 作 内田莉莎子 訳 山田三郎 画

きつねのだんなはねずみを見つけて聞きました。「鼻がどろんこ、どうしたんだい?」「巣穴をつくったのさ」「なんだって巣穴を掘ったんだい?」「あんたからかくれるため」…… きつねはねずみを捕まえようとしますが、ねずみの巣穴は、寝室・食料庫・逃げ道完備。見事に逃げられてしまいました。自然の営みを見事に語るロシアの作家ビアンキのお話の絵本です。

「こどものとも」40号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

1967年に絵を全部描き直した新版が「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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七わのからす

1959年8月号
030041

グリム 作 瀬田貞二 案 堀内誠一 画

生まれたばかりの妹のために水を汲みにいって、泉に壺を落としてしまった七人の兄さんは、腹をたてたお父さんから「からすにでもなっちまえ」とどなられると、七羽のからすになってしまいました。大きくなった妹は、そのことを知ると兄さんたちを探しに旅に出ました。この世のはてまでも巡ったあげく……。堀内誠一が描いたグリムの昔話の絵本。

「こどものとも」41号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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やまなしもぎ

1959年9月号
030042

平野 直 案 佐藤忠良 画

三人兄弟が病気の母のために山梨の実を取りにいくことになりました。最初はたろうが行きますが、途中で出会ったばあさまの忠告をきかずにいって、沼の主にげろりと呑みこまれてしまいます。次にいったじろうもまったく同じこと。最後に一番下の弟さぶろうは……。物語の骨格がしっかりした昔話の絵本です。

「こどものとも」42号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この昔話は同じく平野直の再話で、新たに太田大八の絵によって「日本傑作絵本シリーズ」の1冊として1977年に刊行され、現在も販売されています。

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おはがきついた

1959年10月号
030043

中川正文 作 村山知義 画

野原のまん中で止まった貨物列車の、緑の箱からヤギが、白い箱からカンガルーが、次から次へと箱の扉が開いて、動物たちが降りてきました。そこへ、お知らせの葉書を見た村の子どもたちが集まってきます。サーカスが始まりました。やがて動物たちはまた汽車に乗って、次の村へ……。サーカスがやってくるわくわくする気持が伝わる絵本です。

「こどものとも」43号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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かいたくちのみゆきちゃん

1959年11月号
030044

水口 健 作 坂本直行 画

北海道の開拓者一家の娘みゆきちゃん。朝は、にわとりやあひる、羊、牛、豚など動物たちにえさをやってから、朝ご飯です。ご飯がすむと、とうもろこしの取り入れ、昼からはまきつくり、夕方になると牛を放牧地から連れ帰り、馬をはなしてやります。それからみゆきちゃんはたまごひろい。自然の中で働く開拓者の生活をいきいきと描く絵本です。

「こどものとも」44号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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クリスマスの まえのばん

1959年12月号
030045

クレメント・ムーア 作 渡辺茂男 訳 大沢昌助 画

クリスマスの前の晩。暖炉のそばに靴下をかけて、子どもたちがすやすや眠っていると、鈴の音が聞こえて、8ひきのトナカイの引く雪ぞりに乗った小さなおじいさん、サンタクロースがやってきました。煙突からすすだらけになって入ってくると、靴下に贈物をつめて去っていきます。1822年に書かれ今日のサンタクロース像の原型となったといわれるムーアの物語詩を絵本にしました。

「こどものとも」45号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

この物語詩に1902年にデンスロウが絵をつけた絵本が、渡辺茂男の新しい訳によって「世界傑作絵本シリーズ」の1冊として、現在刊行されています。

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あなぐまのはな

1960年1月号
030046

パウストフスキー 作 ワルワラ・ブブノワ 画 内田莉莎子 案

深い森の中の湖へ魚を釣りにきて、キャンプしていたときのこと、夕方、ジャガイモを焼いていると、草むらから小さなアナグマが現れて、フライパンに鼻をつっこんで、大声で叫んで逃げていきました。翌朝、アナグマは切り株の木くずにやけどした鼻を突っ込んでいました。それから1年後……。野生動物とのちょっとユーモラスな出会いを淡々と描いた絵本。

「こどものとも」46号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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おだんごぱん

1960年2月号
030047

瀬田貞二 訳 井上洋介 画

おばあさんは粉箱をごしごしひっかいて集めた粉で、おだんごぱんを焼きました。窓のところで冷やされたおだんごぱんは、ころんと転がると、いすからゆかへ、ゆかから戸口を出て、おもての通りへ逃げ出しました。途中で出会ったウサギからも、オオカミからも、クマからも上手に逃げたのに、口のうまいキツネに、つい気を許して……。ロシアの民話の絵本。

「こどものとも」47号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

このお話に脇田和が絵を描いた絵本が1966年に「日本傑作絵本シリーズ」の1冊として刊行され、現在も販売されています。

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あたらしい うち

1960年3月号
030048

加古里子 作 村田道紀 画

あきこちゃんの家族は、土地を借りて新しい家を建てることになりました。おじさんたちが、杭を打ち、土台を作り、大工さんが板を切り、柱をけずり、棟木を刻みます。やがて棟上げを迎え、屋根ができると、雨や風にももう大丈夫。壁が塗られ、電気の線も引かれ、いよいよ引越です。一軒の家ができあがる過程とその喜びを、ひとりの女の子の視点から描いています。

「こどものとも」48号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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2005/07/07

私自身の絵本体験  松居直

 1956年に創刊した月刊物語絵本「こどものとも」の企画を思いついたのは、私自身の幼児期の月刊絵本の体験が鍵になっています。
 満3才のころに、夜眠るときに母が添寝をして絵本を読んでくれました。昼間は家事と6人の子どもの面倒をみるのに忙しい母ですが、この時は私が母を独占できる唯一の機会です。弟は赤ん坊で兄は小学生でした。母が私の方に気持を向けて語りかけてくれるのが何よりも嬉しく、70有余年たった今も、その歓びはいきいきと心に残っています。

 そのとき母が読んでくれた絵本は、月刊の絵雑誌「コドモノクニ」でした。1922年創刊の「コドモノクニ」は、日本の子どもの本の歴史に輝く月刊絵本の傑作で、わが国の童謡の黄金時代の詩人たちの新作発表の晴の舞台でした。また「童画」といわれた絵本の新しい芸術的な挿絵の発表の場でもありました。わが国の現代の絵本の原点といってもよいと思われます。
 この美しく楽しい「コドモノクニ」の新刊が、本屋さんから毎月とどくのがどんなに待ちどおしかったか、また新刊の「コドモノクニ」を、心を躍らせて手で開いてみた歓びの印象は宝物のようです。そしてその晩から、待ちに待った新しい「コドモノクニ」への旅が、母の声にさそわれて始まります。この絵本を待つ楽しみは、貴重な幼児体験です。
 やがて幼稚園に通園するようになり、「キンダーブック」を毎月手にする歓びが増えました。観察絵本「キンダーブック」は、児童文学と童謡の粋を集めた芸術的な絵本「コドモノクニ」とは異なる、日常生活でのものを見る眼をゆたかにするノンフィクションのおもしろさを語りかけてくれます。幸いなことに私はこの2種の月刊絵本によって、いつもいつも新しい心躍る感性の体験をすることができました。しかもその体験は、母が共に居て、母の声で心と身体にしみ通るのです。この生活習慣としての絵本の歓びの体験こそが、言葉の持つ不思議な力とその働きを知らず知らずのうちに伝え、いつか私を本好きの子どもに成長させる力となりました。
 この月刊絵本のかけがえのない幼児体験に基づいて、創作童話や昔話を核とした全く新しい表現芸術としての月刊絵本を、子どもたちに贈ろうと願って創刊したのが、月刊物語絵本「こどものとも」です。その後、メディア全盛の時代となった現在、自分の「手」でページをめくって楽しむ絵本の意義と、その文化性は、子どもの成長にかけがえのないものとなっています。

松居 直(まつい ただし)
児童文学家。京都生まれ。1951年同志社大学法学部卒業後、福音館書店の創業に参画し、編集部長、社長、会長をへて、1997年より相談役、現在に至る。1956年月刊物語絵本「こどものとも」を創刊し、編集長として赤羽末吉、長新太、堀内誠一、安野光雅、加古里子、中川李枝子など、多くの絵本作家を世に出す。また、『ももたろう』(1965年サンケイ児童出版文化賞受賞)『だいくとおにろく』や、陶淵明の詩をもとにした『桃源郷ものがたり』など多数の絵本を執筆。著書は、『絵本とは何か』『絵本の森へ』(日本エディタースクール出版部)、『絵本・ことばのよろこび』『子どもの本・ことばといのち』(日本基督教団出版局)、『にほんご』(共著、福音館書店)、『絵本の力』(共著、岩波書店)など多数。

7月 7, 2005 エッセイ1958年 | | コメント (2) | トラックバック (0)

1958 (昭和33)年度にあったこと

長嶋茂雄(巨人)デビュー戦で金田正一(国鉄)に 4連続三振を喫す(4月)
第3回アジア競技大会、東京で開催(5月)
秋田県の八郎潟干拓が始まる(8月)
文部省、「道徳教育」の義務づけを通達(8月)
「狩野川台風」が伊豆地方を中心に広い範囲で大きな被害をもたらす(9月)
ヴェネチア国際映画祭で稲垣浩監督『無法松の一生』がグランプリ受賞(9月)

フラフープ大流行(10月〜)
東京・大阪間を6時間50分で結ぶ特急「こだま」運転開始(11月)
東京タワー完成(12月)
メートル法全面実施(59年1月)
南極の昭和基地に約1年間取り残されていたカラフト犬タロー・ジローの2頭生存確認(1月)
初の少年週刊誌『少年マガジン』(講談社)、『少年サンデー』(小学館)発売(3月)

主なベストセラー:『人間の条件』1〜6 五味川純平(三一書房)
テレビ:『バス通り裏』(NHK)、『光子の窓』(NTV)『スター千一夜』(フジテレビ)など放送開始。ドラマ『私は貝になりたい』(KRT(現TBS))芸術祭テレビ部門大賞受賞
新商品:野球盤(エポック社)、ステレオレコード(日本ビクター)、即席チキンラーメン(日清食品)、缶入りビール(朝日麦酒)、プラモデル(マルサン商店)

7月 7, 2005 そのころあったこと1958年 | | コメント (0) | トラックバック (0)

福音館書店から(第3回)

 たくさんの皆様から、コメント、トラックバックいただきまして、ありがとうございます。たいへん励まされ、また身の引き締まる思いです。今週火曜日にも少し右のメニューを変えましたが、今後も皆様に見やすいサイトになるように、少しずつ改編していきますので、よろしくお願いします。
 さて、各バックナンバー紹介の中で、すでに記していますが、この9月に「こどものとも」創刊号から100号までの復刻版を刊行しますのでお知らせします。

 これまでも、「こどものとも」400号記念として1989年に創刊号から50号までを、500号記念として1996年に創刊号から100号までを、それぞれ復刻版として刊行してきましたが、今回、創刊50周年記念として、500号の時と同じく創刊号から100号までを、50冊ずつのセットで刊行いたします。

  こどものとも復刻版Aセット (創刊号〜50号)
  こどものとも復刻版Bセット (51号〜100号)
   セット定価 各33,600円(本体 各32,000円)
   特製ケース入り(付録 小冊子「こどものともの歩み」I・II)
   (申し訳ありませんがセット販売のみで、1冊ずつの販売はいたしません)
   2005年9月上旬発売予定

 現在、予約を受け付けておりますので、どうぞお近くの書店や販売代理店、またはWEB書店でお申込みください。

 この他にも、こどものとも50周年記念の商品がいろいろ予定されていますが、来週以降、またお知らせしたいと思います。

7月 7, 2005 福音館からのお知らせ | | コメント (0) | トラックバック (2)

はなと あそんできた ふみこちゃん

1958年4月号
030025

与田凖一 作 堀 文子 画

昼間遊んだ牧場の花たちに「おやすみなさい」をいって眠ったふみこちゃんは、花たちのくらしている不思議な世界に来ていました。光の庭、鏡の部屋、赤い公園などを通り、お城に入ると、花たちは音楽に合わせて踊っています。やがて夜明け近くになり……。幻想的な花の世界を大胆に描いています。

「こどものとも」25号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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くまさんに きいてごらん

1958年5月号
030026

M・フラック 作 木島 始 訳 おの かほる 画

ダニーはお母さんの誕生祝いを探しに出かけました。にわとりはたまご、がちょうははねのまくら、やぎはチーズ、ひつじはもうふ、うしはミルクとクリームがいいと教えてくれますが、みんなお母さんがもっているものばかり。最後にくまが教えてくれたのは……。マージョリー・フラックが娘のために語った物語を新たな絵本にしました。

「こどものとも」26号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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てんぐの こま

1958年6月号
030027

岸 なみ 編 山中春雄 画

お寺の小僧いっちょうさんは、いたずらものですが、こま回しなら誰にも負けません。ある晩いっちょうさんが廊下を歩いていると、突然からだを空へもちあげられ、おおぜいの天狗の中に連れていかれました。天狗になれとおどされますが、いっちょうさんは天狗たちにこま回しの勝負を挑みます。伊豆地方の昔話の絵本。

「こどものとも」27号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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でてきて おひさま

1958年7月号
030028

うちだみちこ 案 丸木俊子 画

お日さまが三日も顔を出さないので、ひよこたちは探しに出かけました。カササギやウサギやカモにきいてもわかりません。最後にハリネズミにきくと、山の上から雲にのって月のところへ連れていってくれました。月の案内でお日さまの家に行った動物たちは、寝ている間に真っ黒に汚れたお日様をぴかぴかに洗ってあげました。スロバキアの民話。

「こどものとも」28号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

このお話は「普及版こどものとも」(現在の年中向き)1984年2月号で、堀内誠一絵によって再び絵本になっています。

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ろくと はちの ぼうけん

1958年8月号
030029

木島 始 作 池田竜雄 画

かくれんぼの最中に、壺の中で眠ってしまったろくちゃんは、気がつくと暗い森の中にいました。るんるんうなっている蜂に、もっていた飴をなめさせたりしながら夜を明かすと、そこに、逃げ出した牛を追いかけてじいさんがやってきました。蜂と協力して牛を栗の木に衝突させて動けなくしますが、じいさんはお礼もくれずに……。空想物語の絵本。

「こどものとも」29号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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ピー、うみへいく

1958年9月号
030030

瀬田貞二 作 山本忠敬 画

遊覧ボートのピーは見物人をのせて港の中をまわっています。港には客船や貨物船、大きな帆船や捕鯨船から小さな曳舟までいます。ある日、見たこともない外国船から広い海の話を聞いて、ピーはひとりで港の外に出かけます。見渡す限りの青い海。ところが、そこへ嵐がやってきて……。乗り物絵本の一時代を築いた山本忠敬のデビュー作です。

「こどものとも」30号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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しらさぎのくる むら

1958年10月号
030031

いぬいとみこ 作 稗田一穂 画

7月になるとたろうの村に、しらさぎがひなを孵しにやってきます。たろうの家の竹薮でもしらさぎのぎーが生まれ、飛ぶけいこをはじめました。そんなある日、ひどい嵐の翌朝、巣から落ちたぎーを見つけたたろうは、どじょうやみみずをやって、たいせつに育てます。やがて、しらさぎの旅立つ日がやってくると……。身近な鳥との交流を描いた絵本。

「こどものとも」31号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

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おなかの かわ

1958年11月号
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鈴木三重吉 訳 村山知義 画

ねことおうむは相談して、毎日かわるがわる相手をよんでごちそうすることにしました。ところがよくばりなねこは、おうむが出したごちそうを二人分全部たいらげたあげく、おうむも、おばあさん、ろば、王様の行列まで、まるのみにしてしまいます……。アメリカのブライアントのお話集から鈴木三重吉が訳した物語を、演劇・美術等の多方面で活躍した村山知義が描いた絵本です。

「こどものとも」32号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

この絵本は、お話を瀬田貞二再話に変更し、絵も村山知義の描き直しと追加により、「普及版こどものとも」(現在の年中向き)1975年2月号として新版(本文横組み・左開き)が刊行されました。

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くろうま ブランキー

1958年12月号
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伊東三郎 訳 堀内誠一 画

黒馬のブランキーは、主人の家をつくるために一生懸命働いても、小屋も作ってもらえません。やがて年とったブランキーは、主人に力いっぱいたたかれて、道に倒れてしまいます。その晩、サンタクロースが天からおりてきて、しずかにその首をなでると……。フランスのフレネ学校の共同創作を原作とした、静かなクリスマス絵本。絵本作家堀内誠一のデビュー作です。

「こどものとも」33号
26×19cm 20ページ 当時の定価40円

この絵本は1967年に「こどものとも傑作集」の1冊として刊行され、現在も販売されています。(傑作集版では、本文横組み、左開きに変更されています)

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だむの おじさんたち

1959年1月号
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加古里子 作・画

山奥の谷川を上ってきたのは、発電所をつくるために下調べに来たおじさんたちでした。やがてトラックが、ブルドーザーが、おじさんやお兄さんがたくさんやってきて、ダムの工事が始まりました。昼も夜も夏も冬も、おじさんたちは働き続けます。大勢のおじさんたちが何年もかかって大きなダムを完成させました。加古里子のデビュー作です。

「こどものとも」34号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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おしゃべりな たまごやき

1959年2月号
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寺村輝夫 作 長 新太 画

卵の好きな王様は、遊び時間にお城の鶏小屋の鍵を開けてしまいました。とびだしてきたにわとりに王様が追いかけられているのを見て、兵隊も大臣も大騒ぎ。鍵を開けた犯人探しが始まって、王様はあわてて鍵を捨てましたが、それを1羽のにわとりが見ていたもので……。この絵本によって、長新太は第5回文藝春秋漫画賞を受賞しました。

「こどものとも」35号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

このお話を増補したものに全く新しい絵を付けた大判の絵本が、寺村輝夫・長新太のコンビのまま1972年に刊行され、現在も販売されています。

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とんだよ、ひこうき

1959年3月号
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松居 直 作 寺島竜一 画

まりちゃんの住む小さな島の浜辺に、飛行機が不時着しました。プロペラがまがって飛び立つことができません。まりちゃんは灯台に飛行士のおじさんたちを連れていって、助けをよんでもらうことにしました。救援のヘリコプターでプロペラが届き、修理を終えた飛行機は、砂浜から飛び立ちます。子どもの空へのあこがれに応える絵本です。

「こどものとも」36号
26×19cm 20ページ 当時の定価50円

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