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2009年1月12日 (月)

絵本作家のアトリエ・飯野和好さん

Photo 2月号の「絵本作家のアトリエ」は、「ねぎぼうずのあさたろう」や「くろずみ小太郎旅日記」シリーズが大人気の、飯野和好さんです。

一昨年は朝日新聞朝刊の連載小説「宿神」(夢枕獏・作)の挿絵で新境地を開き、昨年秋からはアニメ版「あさたろう」が始まるなど、活躍の場を広げつづける飯野さんのアトリエを、鎌倉に訪ねました。

三味線弾いたり、刀をふったり。サービス精神満点の飯野さんのお話は、「あさたろう」の旅と重なって、これがまた、泣かせるったら。ぜひお楽しみください!

Photo_5歩入ると空気がひんやりしていた。少し暗い玄関は広く、漆喰の壁と焦げ茶色の柱や梁がどこか懐かしい。これはそうだ、三和土というんだっけ。

「早くも古い感じなんですけど、まだ新築だよ」。着物姿の飯野さんが、草履を脱ぎながら笑った。

35年間暮らした東京の福生から、神奈川県・鎌倉に居を移したのは2年前。会津の古民家の木材を取り寄せ、5年がかりで完成させたこだわりの自宅兼仕事場だ。2階のアトリエからは、山が見える。

「ここは四季折々の山のにおいがいいんだ。山からの風が来ると、うわーいいなーたまりませんって感じで」。

窓の横には、昨年10月から始まったアニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」の特大ポスターがあった。

「ものすごいうれしいいんだ」と飯野さんは目を細める。子どものころからのチャンバラ、時代劇ファン。清水次郎長、鞍馬天狗など全盛期の東映映画を見て育った。

「毎年、学校の庭とかお寺や神社の裏でやる映画会を見に行ったね。新撰組とか、ガマに乗った自来也とかも大好きで」。

その東映による代表作のアニメ化。なるほどうれしいわけだ。あのときそう納得しかけたのが今はちょっと恥ずかしい。だって飯野さんの「うれしい理由」は、そんな浅いものじゃなかったのだ。

Photo_6 旅人の血

てんけてけてけてけ~

おや、どこからともなく三線の音が……。と思ったら、飯野さん、沖縄のカンカラ三線を片手に歌い出した。

よーおっ たびゆけば~ とうかいどうに あきのかぜ~

七五調の節回しといい、堂に入った和服姿といい、なんとも心地よい。目の前に旅人行き交う畦道がのびる。これぞ、浪曲旅人絵本の世界! そしてそれは、飯野さん自信の幼少期の記憶なしには生まれなかった世界である。

*このつづきは、本誌でぜひ!!

(写真・浅田政志)

1月 12, 2009 今月の“立ち読み” |

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