だるまちゃんは、次から次へと要求を突きつけ、その都度、不満げな態度をとるわけですが、それでも、だるまどんは、鷹揚に受け止め、彼の望みを叶えようとします。このやりとりの繰り返し、その中になんと深い愛のあることか。何も子どものわがままをきいてやることが愛情だというわけではなく、どこまでも甘えるだるまちゃんと、どこまでも寛容なだるまどんの間に、愛に満たされた幸福な家族の姿が見えるのです。この絵本を開くと、本来形のない愛情や優しさというものがはっきりと見えます。そのシンプルな美しさに心が震えます。
(あきやま あゆこ 絵本作家/漫画家)
『だるまちゃんとてんぐちゃん』
加古里子 作・絵
28ページ 20×27cm 3才から 定価840円
初版年月日:1967年11月20日
ながい鼻とかうちわとか、てんぐちゃんの持っているものを何でも欲しがるだるまちゃんの物語を、親しみやすい絵で語ってゆく、ユーモアあふれる絵本。
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