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『ぺにろいやるのおにたいじ』 恩田 陸

2012年5月28日 (月)

45 かなり意味深

子どもの頃に「こどものとも」で読んだこの絵本。子供心に不思議な感じがしたのだが、特に鬼が大きな鬼のお面に羊の皮を掛けて隠そうとする場面と、色とりどりの麦わらで遊んでいる場面が強い印象を残している。(著者の)ジョーダンは生物学者であるのと同時に教育家であり、平和活動に従事していた、という経歴を読むと、この話、かなり意味深である。「北風と太陽」の変形にも思えてくるし、現在、世界で「ならず者」と呼ばれている幾つかの国を巡る周囲の態度や、それらの国自身が取る態度のことを連想してしまうのだ。原型はどういう話だったのか、彼はどうのように話をアレンジしたのか。大人になった今、ぜひ双方を読み比べてみたいと思うのである。
(おんだ りく 作家)






ぺにろいやるのおにたいじ2333
ジョーダン 文/山中春雄 画/吉田甲子太郎 訳
24ページ 27×20cm 3才〜小学校初級 定価840円
初版年月日:2009年04月10日(「こどものとも」での刊行は1957年6月号)
人々を怖がらせている鬼の城へ、「引っ越してもらおう」と、おもちゃを持って出かけていく男の子のお話。人間らしさとは何かを静かに語りかける「こどものとも」初期の傑作。

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